杉原です。
今回の記事では、多くのトレーダーが資金を溶かしていると言われるシステムトレード、いゆわるEA(自動売買ツール)では勝てない、勝ち続けることができない「理由」「原理」を解説していきたいと思います。
EA(自動売買ツール)は予め組み込んだプログラムによって自動でトレードを行うもので、ネットなどを介し販売、配布されているものです。
情報商材という形の販売が多いですが、ブログやSNSで無料配布という形も少なくありません。
特に最近では、
「AI(人工知能)の機能を搭載」
などのアピールをするEAが多くなり、人気が上がり続けています。
そんなEAは『自動売買ツール』と言うだけあって、トレーダー自身による売買の判断が完全に「不要」なので、胡散臭い言葉遣いになってしまいますが、文字とおりの「不労所得」が可能です。
それこそ、
・トレードの知識がまったく0
・トレードの充てられる時間がまったく0
であっても、EAが自分の代わりに「自動」でトレードを行い、お金を運び続けてくれる可能性があります。
ただ、そのEA(自動売買ツール)のトレードロジックが「勝ち続けられるもの」でなければ、残念ながら不労所得はもちろん、資金を増やすことには成り得ません。
そもそも勝てない、勝ち続けられないようなEAであれば、資金が増えるどころか、その使い続けるほどに資金が減り続けてしまうからです。
ですが、
・仕事やプライベートが忙しく時間が取れない
・トレードの知識がない
という場合であっても、EAを使えば稼ぐことができるかもしれないというメリットがあり、EAの人気は継続して高いことから、今も多くの人(トレーダー)がEAを使い続けている傾向にあります。
しかしながら、ネット上で販売・配布されているEAは実際のところ、言葉は悪いですが大半のEAが勝ち続けることができない「ガラクタEA」です。
そんな勝てない・勝ち続けることができないEAの割合は、ほぼすべてと言っても良いくらいかもしれません。
それくらい言い切れてしまうほど、たとえAI(人工知能)機能が搭載されているとアピールされようとも、ほぼすべてのEAが勝てない・勝ち続けられないという明確な理由があります。
そこで今回は、注意喚起の意味も込め、ネットで販売や配布されているEAが勝てない理由を解説していく次第です。
では、早速いってみましょう。
AI機能搭載?EA(自動売買ツール)が勝てない理由、原理。
EAが勝てない理由、原理を率直に申し上げますと、大きく下記2点に集約されます。
- 本当に継続して勝ち続けるEAは構築が非常に難しく、一般トレーダーにとって入手そのものが困難だから
- EAを不特定多数の第三者に公開して利用させることに、理に適った理由とメリットはないから
では、これらを1つずつ掘り下げて解説させて頂きます。
理由1.本当に継続して勝ち続けるEAは構築が非常に難しく、一般トレーダーにとって入手そのものが困難だから
そもそもEAの開発には、まずはトレードルール(ロジック=トレード手法)の案を作る必要があります。
そして、作り上げたトレードのロジックをプログラミング言語によってEAに落とし込む事で、はじめてEAが完成する、という流れです。
よって、本当に勝ち続けられるEAを作るには、
1.勝ち続けられるトレードのロジックを開発する
2.トレードのロジックをプログラミングによってEA化する
という、2つのハードルが必要となります。
その上で、まず1つ目の「トレードロジックの開発」が非常に厳しいハードルと言わざるを得ません。
そもそもの話、優秀なトレードルール(=ロジック=トレード手法)の構築をできる人がそう多くはないからです。
もちろん、自身で開発したトレードのロジックで勝ち続けている人がいないわけではありません。
現に、私自身であったり知人のトレーダー、有名なトレーダーで、自身のトレードロジックによって勝ち続けている人も少なからずいることは確かです。
ただ、勝っているトレーダーより圧倒的に負けているトレーダーの方が多く、非常に多くのトレーダーがFXなどのトレードで勝てていないと言われています。
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多くのトレーダーが勝てていないことが真実であるわけ
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FXなどをはじめ投資・トレードの世界では、トレーダーの多くが負けているという話がありますが、これは単なる「噂話」ではありません。
たとえば、国内のFX業者では基本的に、その業者の取引口座を利用しているトレーダーが負けるほど、業者の利益になる仕組みとなっています。
簡単に説明しますと、国内業者はDD方式という、自社の口座を利用しているトレーダーと「反対」の売買を行うことで、その差益によって大きな収益を出し、経営を続けているのです。
具体的には、その業者の取引口座でトレーダーがロング(買い)をする際に、業者はマーケットに対してトレーダーの注文をそのまま通すのではなく、ショート(売り)の注文を通します。
そして、そのトレーダーが決済でショート(売り)をする際には、業者は「反対」であるロング(買い)をするわけです。
そのような流れで、トレーダーとは逆の売買を行っているのがDD方式のFX業者になります。
もちろん、スプレッドなどの手数料もFX業者の収益にはなりますが、DD方式は特にスプレッドを狭くしている分、スプレッドによる企業収益はそれほど大きくありません。
そんなDD方式を採用する業者の大きな利益こそが、先ほど説明した、トレーダーと「反対」の注文を通す事による差益になるわけです。
このようにトレーダーと逆の売買注文を行うということは、トレーダーが勝つほど、このDD方式のFX業者は「負ける」ということになります。
その反面、トレーダーが負ければ負けるほど、その「反対」に逆の売買を行っている業者側は勝ち続けるというわけなんです。
このように、トレーダーが負けるほどに業者が勝つという背景がある上で、DD方式である国内のFX業者を見れば、安定して何年にも渡って経営を続けて大きな収益を得続けています。
そんなDD方式の業者が安定して運営され続けているのは、その業者を利用しているトレーダーが非常に数多く負けているという事実があるからにほかなりません。
ここまで説明させて頂いた流れこそが、多くのトレーダーは勝っているよりも圧倒的に負けている方が多いという事実の証明になるのではないかと思います。
もちろん、勝てていないトレーダーの方が多いというだけで、勝てているトレーダーも実際にいることは事実です。
ただ仮に、勝ち続けることができる有効性の高いトレードのロジックを確立できたとしても、優秀なEAを構築するには、今度はそのロジックをプログラミング言語を介してEAに落とし込まなくてはなりません。
その際、勝てるトレードのロジックを開発する確率が低いだけではなく、そのロジックをEAにできる確率も非常に低いと考えられます。
なぜなら、そのロジックを開発した本人が、プログラミングに詳しく、システム開発のスキルを持っている必要があるからです。
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もちろん、ロジックの開発者が自らプログラミングをするのではなく、システムエンジニア・プログラマーに「外注」してEA化を目指す事も、決して不可能ではありません。
外注の費用は発生するものの、優秀なスキルを持つ個人のシステムエンジニアやプログラマーはネット上で探せば数多くおられますし、個人以外でも普通のシステム開発業者に依頼を出すこともできると思います。
ただ、外注の場合ですと、せっかく有効性の高いトレードロジックを考案しても、そのロジックがしっかりとEAに反映されないケースが少なくありません。
なぜなら、外注先のシステムエンジニア・プログラマーがトレードの知識を深く持っていなければ、持ち込んだ考案したトレードのロジックをプログラミング言語で表現ができないからです。
さらに、AI機能搭載などの、人口知能を有する非常に高度なプログラミングをトレードのロジックに反映できるシステムエンジニア・プログラマーはそれほどいないと思われます。
その結果、EA化したものの、依頼したロジックが上手く反映されないため、思いとおりのトレード成績はなかなか出せません。
そのような背景から、結局はEAを使わずに自分の手動でトレードを行う、という人が、EA化の依頼を行う人の中でも少なくないようです。
「普遍的」に勝ち続けることができる優秀なEA(自動売買ツール)を完成させるには、前述のとおり、
1.勝ち続けられるトレードのロジックを開発する
2.トレードのロジックをプログラミングによってEA化する
という2つのハードルを越える必要があり、ここまで説明しましたように、これらのハードルをクリアできるのは、非常に限られた、
本当にごく一部のトレーダー兼システムエンジニア(プログラマー)
でしかないということになります。
以上から、そもそも優秀なEAの開発は非常に困難であるからこそ、そんなEAを一般のトレーダーが入手すること自体も難しいというわけなんです。
理由2.EAを不特定多数の第三者に公開して利用させることに、理に適った理由とメリットはないから
ここまでは、「本当に継続して勝ち続けるEAは構築が非常に難しく、一般トレーダーにとって入手そのものが困難」という説明をさせて頂きました。
その上で仮に、万が一にも、
1.勝ち続けられるトレードのロジックを開発する
2.トレードのロジックをプログラミングによってEA化する
という2つのハードルをクリアし、優秀なEAを開発することができたとしても、
不特定多数の第三者に使わせる事にメリットはない
という現実があるんです。
簡単に順を追って説明させて頂きます。
まず、FXをはじめトレードは売買注文の「需要」と「供給」で成立している世界です。
その上で、トレーダー自らが自身の手で注文を出す場合とは異なり、EA,自動売買のシステムトレードでは、稼働させるトレーダーごとに寸分の狂いがなく同じタイミングで注文が出されます。
それこそエントリーも利確も、そして損切りも、あらゆる注文が、そのEAを稼働させているトレーダー同士によって同じ時刻で行われるわけです。
もちろん、ネットワーク環境等も影響し、コンマ数秒はズレが生じるかもしれません。
ただ、そのズレの誤差は本当に「微差」であり、EAを稼働させているトレーダーの数が多くなるほど、その差は意味がなくなり、マーケットでは文字とおりほぼ同じタイミングで注文を受け付けるようになります。
そして、まったく同じタイミングで注文が出されれば、否応なしにまったく同じ注文が同じ時刻に「競合」する事は避けられません。
ちなみに稼働させるトレーダーの数、そのトレーダーたちのロット数に応じた注文数が増えるほど、必然的に「競合」はより激しくなります。
そんな競合が起きる事で、稼働させるトレーダーたちのEAが出す注文に対する、マーケット側の処理速度が当然ながら遅くなるわけです。
注文の処理速度が遅くなる=注文がとおりにくくなるということですので、結果的に不利な価格で注文が通ってしまう可能性が高くなってしまいます。
たとえば、ドル円を113.01で買いたかったにも関わらず113.02で買ってしまったりするわけです。
これは、あくまでも一例に過ぎませんが、このように不利な価格で注文が通ってしまう事により、利幅が減ることを意味します。
このような利幅が減少する事の積み重ねにより、そのEAが持つ本来のパフォーマンス(利益率)が出せなくなる可能性が非常に高くなるということです。
また、利食いができれば利幅が減少する程度で済みますが、不利な価格で購入した際、損切りになった場合は、損失幅が広くなってしまいます。
つまり、
利確→利幅が減少し、利益額が少なくなる
損切り→損失幅が広がり、損失額が大きくなる
ということになるのです。
利確、損切り、いずれにしてもEAを稼働させるトレーダーたちにとっては「ただのマイナス」になってしまいます。
よって、EAの検証時(バックテスト時)よりも、利確になろうが損切りになろうが、利益額が少なくなり、損失額が大きくなる可能性が非常に高いということです。
そのような背景もあり、情報商材などの形も含め、ネットを介して不特定多数の第三者にEAを公開して使わせるには、「理に適った」理由とメリットが見当たらないと、私は率直に思います。
本当に勝ち続けることができる優秀なEAならば、利益を独占するべく、前述の「競合」が発生しないレベルの人数に限定させるため、開発者自身の周囲のみでそのEAを独占的に利用するはず、と考えられるからです。
以上が、EA(自動売買ツール)が勝てない理由、原理の2つ目である、「EAを不特定多数の第三者に公開して利用させることに、理に適った理由とメリットはない」という解説でした。
総括。EA(自動売買システム)によるシステムトレードが勝てないわけ。
以上、今回はEA(自動売買ツール)を使ったシステムトレードが勝てない理由・原理を下記2点を中心にして解説いたしました。
- 本当に継続して勝ち続けるEAは構築が非常に難しく、一般トレーダーにとって入手そのものが困難だから
- EAを不特定多数の第三者に公開して利用させることに、理に適った理由とメリットはないから
本記事では、以上を掘り下げて解説してきた次第です。
実際のところ、ブログやSNSなどネットを介してEAが配布、販売され続けているのは、EAの配布者や販売者、そして紹介者が、
・取引口座の紹介料
・EAの販売料金
・紹介料
を稼げるからこそにほかなりません。
EAを売り込む側は、多くの人にEAを使わせれば、上記のお金を稼ぐことができてしまうため、自身がトレードをするよりも非常に「楽」に稼げてしまうわけです。
それこそ、使わせるEAは決して勝てるものでなくても、自身に上記のようなお金が舞い込んでしまいます。
だからこそ、「AI(人口知能)機能を搭載」などのような、何の根拠もない謳い文句でEAを販売・配布する悪徳な人が後を絶ちません。
今回の記事で解説しましたように、ネットで販売・配布されるようなEAでは勝てないという現実があります。
実際のところ、EAで稼げているのは、EAをシステムトレードに使うトレーダーではなく、EAを配布・販売している人達だけと言っても過言ではありません。
ただ現実には、非常に多くの方がEAの謳い文句を信じ、大切な資金を注ぎ込み、徐々にその資金を溶かしていく・・・そんな悪循環に陥っているケースが多々あります。
本来、勝ち続けることができるトレードのロジックは、いつの時代も安定して勝ち続けられなければなりません。
なぜなら、トレードを行っているのは人であり、売買を行う人の心理や、そこから生まれる統計の部分は、いつの時代も変わらない「普遍的」なものだからです。
にも関わらず、ほぼすべてのEAは、バックテストの期間を公表する際に、ごく短い限られた期間のみしか公開していません。
加えて、実際の相場でのトレード結果(フォワードテスト)も継続して公開しているEAはほぼ皆無です。
それらは、今回の記事で解説したように、本当に継続して勝ち続けるEAは構築が非常に難しいからにほかなりません。
結局のところ、そもそもEA配布者・販売者は、EAでトレーダーを稼がせるのではなく、その販売料や口座紹介料などで自らが稼ぐことが目的だからだと思います。
もちろん、そのような目的も人それぞれですし、私がどうこう言う権利は当然ありません。
ただ、今回の記事で解説しましたように、ネットを介して入手できるようなEAを使うことにメリットは一切ないと、ハッキリと断言できます。
もし、EAに対して
「どこかに勝てるEAがあるのかもしれない」
「そんな勝てるEAがあれば、不労所得を得られる」
などの「希望」を少しでも抱いていたのであれば、今回の記事は「絶望」を感じさせる内容だったかもしれません。
今回の内容を踏まえ、EAに対する「希望」は「幻想」だと考え、ネットで手に入るようなEAには注意を払って頂ければ幸いです。
具体的なEAの事例として、レビューと評判を記事にしたものがありますので、宜しければあわせてご覧になってみてください。
>破産? 97.5%のドローダウン。FX自動売買システム「DESIRE」の評判とレビュー。
>半端ではない肩透かし。シークレットセオリー・フルオートEA(奥谷隆一)のレビュー。
追伸:一部例外のEA
一部、勝てるEAが存在する「例外」についてお伝えさせて頂きたいと思います。
それは、金融機関・投資機関、証券会社やFX業者、トップクラスのブローカーが利用するEAです。
ただ、彼らが使うEAは、
・誤差なくコンマ何秒の売買注文が可能
・異常な高速売買による細かい利確が可能
など、通常のロジックとはまったく異なります。
そもそもトレード環境も大手機関を介しているなど、取引速度をはじめさまざまな条件が一般トレーダーとは異なるため、EAの性質も異なるわけです。
つまり、このような金融機関・投資機関のブローカーが使うEAは、使える環境そのものが違うため、彼らが独占して利用し、我々一般のトレーダーに入手できるような代物ではありません。
そんな彼らが使うEAは勝てているからこそ、金融機関・投資機関が存続を維持しているのだと思います。
以上、一部例外のEAについて紹介させて頂きました。
ここまでお読み頂き、ありがとうございます。
杉原。
本ブログ『専業FXデイトレーダーの会』では、FXのデイトレード専業で勝ち続けるべく有益な情報を発信しています。
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