杉原です。
有効性が長期間に渡って継続するEAを手に入れることは、なかなか難しく、EAでの利益の安定化が上手くいかないトレーダーが少なく無いと思います。
そんな中、メルマガ読者さんから、
「長期間勝ち続けるEAを手に入れることは難しくても、短期間で有効なEAを幾つか用意し、パフォーマンスが落ちる前に切り替えていく」
このような戦略は有効かという質問を頂きました。
非常に多くの読者さんが気になる内容かと思い、この記事で共有させて頂く次第です。
短期間のみで通用するEAはテクニカル分析の理に適っていない
まず前提として、短期間のみで通用するEAという時点で、テクニカル分析の理に適っていないと私は思います。
そもそもテクニカル分析は「人間心理を含めた統計」から成り立っており、それは過去/現在/未来を通して「不変的」なはずです。
ですので、本当に理に適っている有効なEAであれば、短期間ではなく10年20年と長期で勝てなければおかしいと思います。
だからこそEAが難しいところでもあり、短期的にだけしか通用しないEAが星の数ほどあるのは間違いありません。
ただ、仮に数多くある短期的に通用するEAを
「パフォーマンスが低下する前」
に別のEAに切り替えるという手段なら、確かに利益を積み上げられるのかもしれません。
長期的に見ればダメなEAでも、勝てる相場は幾つかあるはずなので、その相場の時に短期間で勝ち逃げすれば良いからです。
ですが「切り替えるタイミング」こそが問題であり、これは解決できない問題かと思います。
先ほど前提として、
「短期間でしか通用しないEAの時点でテクニカル分析の理に適っていない」
と書いたように、切り替える対象のEA自体がそもそも理に適っていない手法なので、適切な切り替えタイミングそのものが存在しないと考えられるからです。
ですので、切り替える前に大損という危険性が伴うと思います。
そもそも短期間でハイパフォーマンスを上げるEAは、多くの複数ポジションが前提として成立していることは間違いありません。
なぜなら、逆行してもナンピンを繰り返し、プラ転するまで耐えることで勝率を上げるしか、短期間でのハイパフォーマンスは実現しにくいからです。(ナンピン&マーチンゲール)
(実際に短期間で高いパフォーマンスを発揮しているEAを見ると、ほぼ全てが多くの複数ポジションでナンピンを前提としています)
そのため、ナンピンを大量に行ったにも関わらず、プラ転せずに損切りになった際の損失は計り知れません。
切り替えのタイミングを一度でも誤るだけで、資金が吹っ飛ぶほどの大打撃を受けてしまうわけです。
その上で、そもそも理に適っていないロジックのEAをどこで切り替えるかは『ギャンブル』
でしかありません。
理に適っていない手法の時点で相場状況とパフォーマンスに規則性が無いわけですから、高確率で切り替え時を間違ってしまうことは、どうしても避けられないと思います。
その上で、先ほど書いたようにナンピンを前提としている場合、切り替え時を間違った時点で計り知れない大損を高確率で受けてしまうということです。
その他、切り替え時だけではなく、最初に稼働させるタイミングの重要性も欠かせません。
そもそもEAを動かし始めなければ意味が無いからこそ、最初にどの相場で稼働させるかも切り替え時と同様に、重要になるからです。
そんな稼働のタイミングに関しても、切り替え時と同じく、EA自体が理に適っていないからこそ、相場状況とパフォーマンスに規則性がありません。
そのため、稼働させるタイミングを見極めること自体も、切り替えのタイミングをと同じように『ギャンブル』になってしまうと私は思います。
以上から、EAの切れ変え戦略に関して、私としては否定的な意見を述べさせて頂きました。
もちろん、理に適ったEAで長期的に有効なものを、さらに全体的なポートフォリオ内での利益を高めるために、EAのオン/オフを行うことはアリだと思います。
理に適ったEAだからこそ、相場状況とパフォーマンスに規則性があるため、
「この先、数週間はパフォーマンスが落ちるので、一時的にこのEAは止めておこう」
などの戦略が有効となるからです。
ですが、そもそも長期的に有効なEA自体は、なかなか一般には出回りません。
以下の記事にもあるように、人の手による取引ではなく、完全にプログラミングされているので、EAは売買タイミングが一致してしまいます。
そのため、利用者同士での競合があり、
・利用者が増えるほど
・取引量が増えるほど
注文処理が遅れてしまい、本来のパフォーマンスが出なくなるわけです。
長期的に有効なEAを作れる優秀なシステムエンジニアが、その程度のことを知らないわけがありません。(と私は思います)
だからこそ、本当に勝ち続けられる優秀なEAは、一般に出回らず、一部の身内のみでコッソリ使われているわけです。
また、金融機関もアルゴリズムトレードをと称してEAを使っていますが、もちろん、一般には出回らず、優秀なシステムエンジニアに作らせたものを、自社のみで独占して使っています。
そんな金融機関が使うEAはコンマ数秒の高速スキャルを前提とし、異常にハイスペックなサーバーを使えるからこそ、勝てているEAに他なりません。
そのため、仮に一般に出回ったとしても、そもそも稼働させられるサーバーを揃えることができないので、どうしても、その優秀なEAから一般人が利益をえることは難しいわけです。
よくあるEAの罠
ちなみに長期のバックテスト(20年など)で優秀なEAは「過去データ(ヒストリカルデータ)から1本先のローソク足を読み取り、その情報で売買を判断する」というロジックを組めば、簡単にバックテストだけでは勝てるEAができてしまいます。
ただ、実際の相場では「1本先のローソク足」は当然読み取れません。
そのため、バックテストだけ優秀なEAとなり、実際の相場では次第に負けてしまいます。
実際のところ、この手の話は昔からゴロゴロと転がっており、未だに引っかかてしまう方が少なくありません。
EA利用者が勝とうが負けようが、そのEAの取引で生じるスプレッドの一部を、EA配布者はFX業者側から多く貰えるのが実情です。
このような事情があるからこそ、バックテストで勝てているEAを無料/有料に関係無く配布する人が今も少なくありません。
そのため、もしEAを検討するのであれば、最低限バックテストだけではなく、実際の相場でも勝ち続けられているEAを選ぶことを推奨していました。
EA切り替え戦略に関しての総括
以上、長くなってしまいましたが、短期で有効なEAの切り替え戦略に関して申し訳ありませんが私としてはギャンブルと同じかと感じてしまった次第です。
これは完全な私見ですが、誰でも同じ結果になるインジケーターのサインツールや、今回お話したEAで稼ぐことは、探しに探して優秀なものに辿り着いたとしても、なかなか大きな利益を上げることは難しいと思います。
インジケーターやEAは、どうしても数字の計算を事前にプログラミングするものでしかなく、そんな前もっての計算では、
テクニカル分析の本質である人間心理
を捉えることができないと私は考えているからです。
仮にトレーダー全員が、同じインジケーターを、
・同じ時間足
・同じパラメータ(設定値)
で使うというなら話は別ですが、そんなことは実際には有り得ません。
そのため、前もってインジケーターを使っての計算などは、テクニカル分析の本質に沿っておらず、あくまでも「勝てそうな傾向」レベルの話で、勝つべくして安定的に勝つことは難しいと私は感じていました。
だからこそ私は当初から、後付けではなく、ローソク足の生成より先に表示して待ち構えている
・水平ライン
・トレンドライン
・アウトライン
・キリ番
などのラインを軸にして、人間心理がベースとなる「サポレジ」をロジックとしていたわけです。
その辺のラインと人間心理に関しては、下記の無料メルマガの1通目でご案内している『重複点テクニカル』の案内資料内に、詳しく追記していますので、必要に応じて参考にして頂ければと思います。
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