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杉原です。
ローソク足のパターンであるプライスアクションの中でも、大勢のトレーダーたちから意識され、有効性が高いと言われる実体よりもヒゲが長い「ピンバー」があります。
ただ、ピンバーは有効性が高いとされるものの、ヒゲは実体の何倍かといった割合を含めた「定義」が微妙なところで、上手く使いこなせていない・・・というトレーダーの方も少なくないと思いました。
そこで当記事では効き目の高いピンバーの定義に関して、
・実体とヒゲの割合
・逆側に伸びている短いヒゲと実体の割合
・長いヒゲの推奨pips
・有効な出現場所
を含めて総合的に解説していき、ピンバーを扱う際の欠点となる注意すべき要素の対策も紹介させて頂く次第です。
より効き目のあるピンバーの定義と、その判別法を理解することで、勝率の向上にも繋がっていくので、ぜひ最後までお付き合い頂ければと思います。
ピンバーの定義。ヒゲと実体の割合~ヒゲは実体の何倍か?~
下ヒゲのピンバーは「買いのサイン」、逆に上ヒゲのピンバーは「売りのサイン」という点は、多くの書籍やネットの情報でも言われているので、大半のトレーダーは理解しているかもしれません。
ただ、多くのトレーダーがピンバーの定義で初めに悩む部分が、ヒゲと実体の長さかと思います。
要するに「ヒゲの方が長いらしいが、実体の何倍あれば良いのか?」という点です。
では実際に、下図はピンバーにおける「ヒゲ」と「実体」を切り分けた図ですが、実際にヒゲは実体の何倍ほどの長さがあれば、効き目のあるピンバーになるのかの定義を言及していきます。
まず、効き目の強いピンバーになる要因を考えると、より大勢のトレーダーが「ピンバー」と意識することが欠かせません。
少ないトレーダーだけが「これはピンバーかもしれない」と意識するだけで、その他大勢のトレーダーたちが「ただヒゲが出ているローソク足」としか意識しなければ、そのローソク足の効き目はどうしても弱くなります。
逆に、ほぼ大多数のトレーダーが「これは間違いなくピンバー」と意識するようならば、効き目の強い、機能しやすいピンバーになりやすいです。
その上で、大多数のトレーダーがピンバーと認識するようなヒゲと実体の長さに関する割合は、
「ヒゲは実体の3倍以上」
とされています。
実際に日本だけでなく、海外を含めた書籍やネット上の情報では、上記のように実体の3倍以上はあるヒゲがピンバーと定義されていることが少なくありません。
そのため、大勢のトレーダーが単純に実体の2倍程度しかないローソク足はピンバーとして認識せず、ヒゲが実体の3倍以上あるものだけをピンバーとし意識してトレードする傾向にあるわけです。
さらに、サインツールを含むインジケーターや、EA(自動売買ツール)では、ヒゲの長さと実体の長さを計算ミスなく、実体の3倍以上あるヒゲのローソクのみを厳選できます。
よって、手動でトレードを行う裁量派のトレーダーはもちろん、EAなどのシステムトレーダーからもヒゲが実体の3倍以上というローソク足がピンバーという認識を持っているということです。
ですので、結果的に世界中から相場に参加している大勢のトレーダーが、
ヒゲの長さ:実体の長さ = 1:3~
と意識しているからこそ、下図のように、上記の割合のピンバーが効き目の強いピンバーの定義と言って良いと思います。
ピンバーの定義として長さは何pips必要?(コマ足との違い)
実体よりも3倍以上の長さがヒゲとして必要という話でしたが、仮に実体が1pipsならばヒゲが3pipsであれば、下記のように短いローソク足でもピンバーとして成立してしまいます。
確かに上図のようなローソク足はヒゲが実体の3倍以上はあるものの、全体の長さがあまりにも短いため、ピンバーではなく、いわゆる「コマ足」と判断されることが多くなります。
そんなコマ足はピンバーに比べて頼りにするトレーダーは、まったく多くありません。
そのため、ピンバーだと判断しても実際に大勢のトレーダーがコマ足としか判断しないようなローソク足であれば、効き目が極端に弱くなるわけです。
よって、コマ足と判断するトレーダーが多くならないよう、最低限、ローソク足の大きさはあった方が、機能を果たしやすいピンバーの定義となります。
あくまでも目安ですが、バックテストやフォワードテスト、実際の相場を見てきて、長い側のヒゲが、
・5分足ならば最低でも5pips以上(できればもっと)
・1時間足ならば最低でも10pips以上
は必要に感じていました。
1時間足などの長期足(上位足)になるほど、1つのローソク足あたりが短期足(下位足)に比べて大きくなるため、その分だけヒゲの長さも余計に必要になります。
この話はあくまでも、コマ足と区別するための目安で、先ほど説明したようなヒゲは実体の3倍以上という前提を踏まえ、さらに長さ(pips)も十分に長いピンバーであるほど、より大勢のトレーダーがハッキリとピンバーを意識するので、効き目が強くなるわけです。
逆方向のヒゲはピンバーの定義としてどう考える?
ここまでは、実体とヒゲの長さにおける割合を説明しましたが、逆側のヒゲに関しても定義が必要かと思います。
ローソク足によっては、
・下ヒゲのピンバーで上ヒゲ(逆側)も長い
・上ヒゲのピンバーで下ヒゲ(逆側)も長い
という場合も少なくありません。
このように上下のヒゲが長い場合は、あまりキレイなピンバーとは言えず、ピンバーと定義しないトレーダーも多いようです。
そもそも、ローソク足における長いヒゲは、下ヒゲであれば「買い圧力」の増加を、上ヒゲであれば「売り圧力」の増加を意味しており、多くのトレーダーがそれを認識しています。
ただ、下図のように、上下の両方ともヒゲがそれなりに伸びている場合は「買い」も「売り」も圧力が増加しているので、それぞれ買いも売りも効き目を打ち消し合っているわけです。
ですので、逆側のヒゲも長い場合は、買い側も売り側も押し合い、互いに打ち消し合うからこそ、効き目の弱いピンバーと言っても過言ではありません。
では、逆側のヒゲは「どのくらいの長さ」ならピンバーと定義できるのか?という点について解説していきます。
多くの書籍やインジケーター、EA(自動売買ツール)などの計算式を見ると、
逆側のヒゲは実体よりも短い
という定義が多いようでした。
実際に下図のように、
・下ヒゲは実体の3倍以上
・上ヒゲ(逆側)は実体よりも短い
このようにピンバーの定義がされている場合、とてもキレイなピンバーになり、厳密に計算されるインジケーターやサインツール、EAはもちろん、大体の計算で済ます裁量トレーダーから見ても、明確にピンバーと意識する傾向にあります。
結果的に、より大勢のトレーダーから同じように「明らかにピンバー」と意識されるからこそ、上記のようなピンバーの定義で効き目が強くなるわけです。
補足:ヒゲと実体の長さを求める方法
ここまでは、有効なピンバーの定義として、下ヒゲのピンバーであれば、
・下ヒゲは実体の3倍以上
・コマ足にならないように下ヒゲは十分な長さ
・上ヒゲ(逆側)は実体よりも短い
ということを解説させて頂きました。(上ヒゲのピンバーはこの逆)
その上で、どうやってヒゲや実体の長さ(pips)を測るべきか、その具体的な計算方法や、ほぼ演算せずに目視で測る方法まで解説したいと思います。
演算による正しい計算方法
ヒゲも実体も長さを測る際には「陽線」と「陰線」によって計算式が異なるのでご注意ください。
まず以下が陽線の場合における計算式になります。
- 陽線の下ヒゲ = 始値ー安値
- 陽線の上ヒゲ = 高値ー終値
- 陽線の実体 = 終値ー始値
下の図とあわせてご覧ください。
続いて陰線の場合における、ヒゲと実体の長さ(pips)に関する計算式です。
- 陰線の下ヒゲ = 終値ー安値
- 陰線の上ヒゲ = 高値ー始値
- 陰線の実体 = 始値ー終値
こちらも陽線と同じく、下に掲載した解説図とあわせてご覧ください。
以上が、陽線や陰線で、ヒゲと実体の長さを厳密に測る計算式でした。
ここで紹介した計算式を使えば、ヒゲが実体の3倍以上かどうかが明確に分かるはずです。
ただ、この計算方法の難点としては、暗算に時間がかかり、その間にエントリーのチャンスを逃しかねないことに他なりません。
そこで、ほぼ演算なしで、ヒゲの長さが実体の3倍以上かどうかを目視で確認できる、私がよく使う方法を紹介させて頂きます。
演算をせずピンバーを見分ける方法
まずはTradingview(トレーディングビュー)などのチャートソフトを開き、縦軸のメモリを1または2pipsなど細かくします。
その上で、メモリの個数で「実体」「上ヒゲ」「下ヒゲ」を数えて、実体の何倍のメモリ数かを計測するわけです。
下図がそのイメージ図になります。
この図は5分足のポンド円で、オレンジで囲った方は下ヒゲの長さも十分(1メモリ2pips×4以上)、実体が約1メモリ(2pips)に対して、下ヒゲが4メモリ以上あるので、わざわざヒゲと実体の長さを測らずとも、明らかに強いピンバーということが分かります。
ただ、黄緑で囲った方は、下ヒゲが実体の3倍以上あるものの、1メモリに収まっている実体に対し、上ヒゲ(逆側のヒゲ)は1メモリ以上あるので、ピンバーとしては不適切ということが瞬時に分かるわけです。
このようにTradingview(トレーディングビュー)では縦軸がキレイに1メモリが見やすくなっているので、メモリの個数でヒゲが実体の3倍以上化を確かめたりすることが簡単になっています。
ヒゲの長さ自体も「1メモリのpips×メモリの個数」で簡単な掛け算のみで導けるので、非常にお勧めの方法です。
出現場所に関して効き目があるピンバーの定義
効き目が強いピンバーの定義に関する最後の項目が「どこで出現するか」というものです。
これは単純で、そもそもピンバーはトレンド転換のサインでもあるので、下記のように簡単に考えられます。
- 下ヒゲのピンバー
→下げ切った場面 - 上ヒゲのピンバー
→上げ切った場面
実際に図にしたものが下図になります。
この他にも、
・押し目買いの場面で出現する下ヒゲのピンバー
・戻り売り場面で出現する上ヒゲのピンバー
も、一時的なトレンド転換の場所になるので、効き目の強いピンバーになりやすいです。
ピンバーのまとめと注意点
以上ここまでは効き目の強いピンバーの定義として、下記のような内容を解説させて頂きました。(下ヒゲのピンバーを例にしています)
- 下ヒゲは実体の3倍以上
- 上ヒゲは実体より短い
- コマ足にならないように下ヒゲは十分な長さ
- 下げ切った場面や押し目買いの場面がより有効な出現場所
上ヒゲのピンバーであれば、下図のように上記の逆で、上げ切った場面や戻り売りの場面が有効な出現場所となります。
ピンバーの注意点~単体で使うと弱い傾向にある~
そんなピンバーですが、この記事で解説したピンバーの定義に沿った下ヒゲのピンバーが出たからと言って、安易に買い注文を出しても、それほど勝率そのものは大きく高まりません。
と言いますのも、仮に5分足で下ヒゲのピンバーでも、別の時間足では全く異なるローソク足の可能性が非常に高く、そもそもトレーダーによって見ている時間足は一致していない点もあります。
よって、ピンバー単体でのエントリー判断はあまり有効ではありません。
以上から、少なくともピンバーは、メインとなるテクニカル指標と併用して使い、あくまでも「補助的」に活用することを推奨していました。
メインとしてお使いになるテクニカル指標のサインが出る際に、ピンバーも同時に出ることで、そのテクニカル指標の効き目が強まるようなイメージです。
そんなピンバーと相性が最も良いテクニカル指標として挙げられるのは、
・トレンドライン
・チャネルライン
・キリ番
・水平ライン
などの『ライン』ではないかと思います。
これらのラインは、他の一般的なテクニカル指標とは異なり、パラメータ(設定値)がありません。
RSIやRCI、MACDなど代表的な指標は、パラメータ(設定値)がトレーダーによって異なることで、同じ指標を使うトレーダー同士でも、まったく違ったテクニカル分析を行ってしまう可能性があります。
対して先ほど挙げたラインは、設定値がないことで使うトレーダー同士の差が無いので、大勢のトレーダーによって同じテクニカル分析の結果になりやすいメリットがあるわけです。
ですので、有効性の高いラインとい指標にピンバーを合わせることで、ラインの効き目をより強めるように作用し、ライントレードの精度を向上できます。
そんなライントレードに関して、実際の事例として、エントリー条件を含めたロジックをそのまま下記の記事で公開していました。
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