杉原です。

本記事は有効性が高く、効き目があるトレンドラインをテーマに、「引き方」「修正法」「削除」までの流れをすべて図解していきます。

そんなトレンドラインはRSIやRCIなどを初めとするテクニカル指標とは異なり「パラメータ」が存在しません。

つまり、トレーダーが各々で設定するパラメータによる「差異」がないため、多くのトレーダーと同じ意識で売買戦略を立てやすくなるので、「勝率」「利益率」を高めやすいテクニカル指標が「トレンドライン」と言えるわけです。

このトレンドラインを有効に扱えるようになれば、トレードで相応の成績を出せる見込みがありますので、ぜひ本記事でトレンドラインの扱いをマスターして頂ければと思います。

本記事では、トレンドラインの扱いを網羅するために、

・トレンドラインの引き方
・トレンドラインの修正法(引き直し)
・トレンドラインの削除法

までの三部構成という流れで進めていく次第です。

それでは早速いってみましょう。

多くのトレーダーが意識することで効き目がある有効なトレンドラインの引き方

より多くのトレーダーが意識しているトレンドラインを引く事により、

・エントリー方向と反転してもリバウンドしてくる確率が高まる
・エントリーした方向に価格が進みやすくなり利確の可能性が高まる

という部分の「精度」を「より高める」事ができます。

ゆえに、「より多くのトレーダーが意識している」トレンドラインを引く事が大前提となるわけです。

前提となる基本的なトレンドライン

まず、トレンドラインは最低2点以上の「高値同士」または「安値同士」で引きます。

・上昇のトレンドラインならば、最低2点以上の「安値同士」
・下降のトレンドラインならば、最低2点以上の「高値同士」

そんな「高値」と「安値」は、多くの書籍やDVDなどの情報源で「ローソク足が左右6本」というのが一般的となっていました。

ただ、ただ単純にローソク足が6本できたから「高値」「安値」ができたと言って、安易にトレンドラインを引いても、多くのトレーダーが「意識しないトレンドライン」になってしまう可能性も否定できません。

なぜなら、多くのトレーダーは、単純にローソク足が6本できるごとにトレンドラインを引かないからです。

多くのトレーダーが意識するトレンドラインの引き方、引くタイミング、その傾向は下図のとおりになります。

【上昇トレンドのトレンドライン】直近の高値を更新してから、起点となる安値と直近安値を結ぶ

上昇トレンドラインの図例

【下降トレンドのトレンドライン】直近の安値を更新してから、起点となる高値と直近高値を結ぶ
下降トレンドラインの図例

ローソク足が6本できた段階では、まだ新たな「高値」および「安値」の候補ができた段階に過ぎません。

そのできたばかりの「高値」「安値」が必ずしもトレンドラインを引く場所になるかというと、そうではなく、上図2つの説明にあるとおり、

・上昇トレンドラインは、新たな高値を更新した段階
・下降トレンドラインは、新たな安値を更新した段階

で、初めて多くのトレーダーがトレンドラインを引き出すタイミングになります。

結ぶ頂点(高値、安値)は「実体」か「ヒゲ」か。

トレンドラインを引く際には頂点同士を結ぶわけですが、その頂点は「実体」なのか「ヒゲ」なのか、割と賛否が分かれるところかと思います。

その上で私が提唱しているのは、「ピッタリと実体やヒゲで結ばずとも、より多くの頂点同士で綺麗に結べれば良い」という考え方です。

頂点が2点の場合であれば、ピッタリと頂点同士を結ぶ事はできます。

ただ、頂点が3点以上になると、頂点同士を「ヒゲ」「実体」のいずれにしても、ピッタリで引こうとすると、

ラインに頂点が届かない
ヒゲまたは実体がラインからはみ出る

などが起きるため、なかなかトレンドライン自体が引けません。

そこで、あまりヒゲや実体でピッタリと結ぶ事に拘らず、より多くの頂点で綺麗に結べるようにラインを引く事を勧めていました。

頂点を結ぶ数が多いほど、自然と多くのトレーダーも意識するようなトレンドラインになっていくので、効き目が高い有効なトレンドラインになるはずだからです。

次に解説する「有効なトレンドラインとは」で具体的なトレンドラインの図をすぐに掲載していますので、そちらをあわせて参照ください。

効き目がある有効なトレンドラインとは

ここまでは、基本的なトレンドラインの引き方を解説しました。

その上で、多くのトレーダーが意識することで効き目がある有効なトレンドラインの特徴を解説させて頂きます。

以下が、そんなトレンドラインの特徴です。

  • より多くの頂点が結ばれている事
  • 角度が45度前後である事
  • 頂点の間隔が均等に近い事

そんな上記の特徴を踏まえた、有効なトレンドラインの例が下図になります。

【有効なトレンドライン(上昇トレンドライン)】
有効なトレンドライン(上昇トレンドライン)

【有効なトレンドライン(下降トレンドライン)】
有効なトレンドライン(下降トレンドライン)

なぜ上記の特徴を持つトレンドラインが、多くのトレーダーに意識され高い有効性を発揮するのか―

まず、上記3つの要素を含むトレンドラインは「綺麗」にラインを引けるため、多くのトレーダーが描いたそのラインがチャート上で一際目立ちます。

そのため、意識的だけではなく無意識的にも、そのトレンドラインに意識がいくわけです。

また、トレンドラインが上記の特徴3つを含むと、多くのトレーダーが目にした事があるであろう、

書籍の教材
情報商材の教材
ネット上の情報

などにも取り扱われているような「トレンドラインの見本」になっていきます。

だからこそ、潜在的にも、

より多くの頂点が結ばれている事
角度が45度前後である事
頂点の間隔が均等に近い事

を踏まえたトレンドラインは非常に多くのトレーダーに意識されるようになるということです。

トレンドラインの引き直し、修正方法

トレンドラインは一旦引き終えたら終了ではありません。

相場の値動きによって、トレンドラインを「修正」していく必要があるからです。

修正をせずに、いつまでも過去に引いたトレンドラインに固執してトレードを続けていると、すでに意識しているトレーダーが少なくなってしまう事で有効性が低くなる危険性があります。

そのため、修正していないトレンドラインを頼りにしてしまうと、精度の低い手法になってしまう可能性があるわけです。

ですので、トレンドラインを引く事と同様に、この修正方法も非常に重要となりますので、ぜひ引き続きお読みになってください。

では、トレンドラインを引き直すタイミングから解説させて頂きます。

(1)高値を更新した段階で、安値①と安値②を結び正しいトレンドラインを引いた図
上昇トレンドラインの例

(2)下図は矢印のとおり、ローソク足がトレンドラインを下回りました。
ただ、まだダウ理論の観点で見ると②を下回っていないため、上昇トレンドは維持という状況です。

上昇トレンドラインが破られた

※ダウ理論について。

多くのテクニカル指標や裁量判断の大元となっている理論で、自然と多くのトレーダーが必然的に意識していることになります。

トレンドに関するダウ理論は、下記が概要です。

・上昇トレンドは、直近の高値を更新し続けている限り上昇トレンド維持(直近の安値を下回らない限りとも言える)
・下降トレンドは、直近の安値を更新し続けている限り下降トレンド維持(直近の高値を上回らない限りとも言える)

「上昇トレンド」「下降トレンド」ともに、トレンドの継続から終わりまでを図にしてみました。

ダウ理論に基づく上昇トレンド

上図は高値と安値が綺麗に切り上がっている=上昇トレンドです。

上昇トレンドの終焉

高値1、高値2まで高値が切り上がっていて、安値1、安値2も同時に切り上がっていたので、ここまでは上昇トレンドが継続しているということになります。

しかし、高値3になると前回の高値2を切り上がる事なく下回りました。(切り下がり)

同時期に安値3も、前回の安値2を切り下がっています。

このように上昇トレンドが終わっていくわけです。

続いては、下降トレンドに関しての図になります。

ダウ理論に基づく下降トレンド

安値と高値が綺麗に切り下がっている=下降トレンドです。

下降トレンドの終焉

安値1、安値2まで安値が切り下がっていき、高値1、高値2も同時に切り下がっていたので、ここまでは下降トレンドが継続しています。

しかし、安値3になると前回の安値2を切り下がる事なく上回りました。(切り上がり)

同時期に高値3も、前回の高値2を切り上がっています。

このように下降トレンドが終わっていくわけです。

以上が、ダウ理論に基づくトレンド定義の簡単な説明になります。

話を戻し、下図の説明に移ります。

(3)③を新たな直近の安値として、青の点線で直近の高値を越えてきたので、上昇トレンドは維持中です。

ここで直近の高値を更新した段階で、初めてラインを修正します。(これは先ほどのトレンドラインの引き方とまったく同じ考え)

トレンドが継続したため、トレンドラインを修正

(4)(3)の段階で新たな高値を更新したため、トレンドラインを修正しました。

先ほどは①と②で結んでいたものの、起点となる①を変えずに①と③を結ぶ事ができます。

⑤はその後もこのトレンドラインがしっかり意識されているからこそ、ラインを下回らずに反発していました。

修正したトレンドラインが見事に機能

 

以上が、トレンドラインの引き直し、修正法になります。

すでに効き目がなくなったトレンドラインを削除するタイミング

下図は先ほどの図から続いているもので、⑤を下回った時点で、⑤は「押し安値」と言われる安値と認識されます。

この時点で、ダウ理論における上昇トレンドの定義が崩れたため、①を起点に引いていたトレンドラインが無効化となるため、削除するわけです。

押し安値を更新して上昇トレンドが終焉したので、トレンドラインを削除

ダウ理論で赤のトレンドラインが上昇トレンド終了となっているにも関わらず、この①を起点にした赤の上昇トレンドラインを削除せずに、青のトレンドラインに修正してはいけません。

これでは、ダウ理論のトレンド定義に反してしまうからです。

結果として、下図のように多くのトレーダーがまったく意識していないラインになってしまいます。

トレンドラインの間違った修正方法

「ラインが機能せず」とは

トレンドラインは多くのトレーダーが意識すればするほど、そのライン上で反発し、「高値」または「安値」を作っていきます。

このような状態を「ラインが機能する」というわけです。

ゆえにトレンドラインが機能しない状態は、ライン上で反発せずに抜けていく状態を指します。

もちろん、どんなトレンドラインもいつかは抜ける時が来るものの、上図のようにすぐに抜けるラインは、多くのトレーダーが意識していなかったと判断することができて、結果、機能していないラインだったと言えるということです。

まとめ。効き目が強い有効なトレンドラインの引き方

本記事では、効き目が有効なトレンドラインの引き方、引き直し(修正)、削除までの図解を行ってきました。

その上で、本記事において最も重要度の高い内容としては、有効性が高いトレンドラインの特徴として挙げた下記の要素です。

  • より多くの頂点が結ばれている事
  • 角度が45度前後である事
  • 頂点の間隔が均等に近い事

実際の図にすると、下図のようになります。

有効なトレンドライン(下降トレンドライン)

有効なトレンドライン(上昇トレンドライン)

以上のようなトレンドラインこそが、より多くのトレーダーに意識されやすい事で、値動き予測の精度が高まりやすいラインになっています。

そんなトレンドラインですが、一度の取引で2桁台の利益率を出せているトレンドラインのブレイク手法をブログ内で公開していました。

実際のチャート図でエントリーから決済までの図解をしていますので、ぜひ下記の記事をご覧になってみてください。

>取引1回で2桁の利益率〜トレンドラインのブレイク手法『加速点テクニカル』〜