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杉原です。
ヒゲが長く反転を示す有効なプライスアクションである「ピンバー」に対して、
スパイク(スパイクロー、スパイクハイ)
合成ピンバー
という似ている形状があります。
いずれにしても、トレンドの反転や押し目買い/戻り売りの場面で有効なプライスアクションになるものの、それぞれの違いや定義が分かりにくく、有効に活用できていないトレーダーも少なくありません。
そこで当記事では、それぞれを有効に使いこなせるように、
・ピンバーの定義
・ピンバーとスパイクの違い
・ピンバーと合成ピンバーの違い
という順で、なぜプライスアクションとして効き目があるか、原理的な部分も含めて解説させて頂きます。
そもそものピンバーとは(定義)
ピンバーは下図のように、買いを示す場合は下ヒゲが長く、売りを示す場合は上ヒゲが長いローソク足を指します。
基本的には長い側のヒゲが実体の約3倍以上が有効なピンバーと言われています。
その上で、特に効き目の強いピンバーの定義は、
・長い側のヒゲと実体の割合
・全体的なローソク足の大きさ
・短い側のヒゲと実体の割合
・出現する場面
など具体的な視点で解説した下記の記事がありますので、良ければ当記事とあわせてご覧ください。
ピンバーとスパイクの違いとは(スパイクロー、スパイクハイ)
そんなピンバーと非常に似ている形状で、混同しがちなものがスパイクと言われるプライスアクションです。
このスパイクは下図(5分足チャート)のように、
・下ヒゲが伸びている「スパイクロー」
・上ヒゲが伸びている「スパイクハイ」
に分かれています。
それぞれ、買いを示す下ヒゲのピンバーはスパイクローと、売りを示す上ヒゲのピンバーはスパイクハイと似ているわけです。
ただ、ピンバーはヒゲと実体の長さを見て「ローソク足1本のみ」で判断できるものですが、スパイクローもスパイクハイも、スパイクの場合は1本のローソク足だけでは判断できません。
なぜなら、スパイクは周囲のローソク足と比較して、中心となるローソク足のヒゲだけが目立つように伸びていることが定義となっているからです。
ですので、ローソク足1本で判断できるピンバーとは異なり、スパイクは「周囲のローソク足を含めての判断」となります。
以下が、スパイクの具体的な定義の目安です。
- 中心となるローソク足のヒゲが長いこと
- 前後のローソク足はヒゲがほぼ無いこと
- 中心となるローソク足はピンバーとは限らないこと
スパイクローは「下げ切った場面」や「押し目買いの場面」で、スパイクハイは「上げ切った場面」や「戻り売りの場面」での出現となります。
その上で、上に書いたように、前後のローソク足はヒゲがほぼ無い代わりに、中心のローソク足は長いヒゲが出ていることが定義(条件)です。
ですが、中心となる長いヒゲのローソク足は必ずしも、実体の3倍以上となる長さのヒゲである「ピンバー」である必要はありません。
スパイクの中心となるローソク足におけるヒゲの長さは、実体の3倍に満たずとも有効だということです。
スパイクローにしてもスパイクハイにしても、スパイクはあくまでも「複数のローソク足」を組み合わせたプライスアクションであり、単体で見た際にピンバーほどヒゲが長くなくても、大勢のトレーダーに意識されやすい上に、
「上位足で見るとピンバーになる」
という場合が少なくありません。
実際、先ほど掲載した5分足チャートにおけるスパイクハイの例は、下図のように30分足で見ると実体の3倍以上ヒゲが長いピンバーになります。
30分足のような上位足は、長めのポジションを持つスイングトレードを行うトレーダーはもちろん、相場の全体的なトレンドを把握するためにデイトレードやスキャルピングを行う短期トレーダーも意識されやすい時間足です。
ですので、そんな上位足のピンバーは、大勢のトレーダーから注目され効き目が強くなります。
このように、スパイクは上位足のピンバーとの「重複」が発生しやすいので、仮にスパイクの中心となるローソク足がピンバーほどヒゲが長くなくても有効に機能しやすいわけです。
もちろん、スパイクの中心に位置するローソク足もピンバーであれば、より効き目が強いスパイクロー/スパイクハイになることは間違いありません。
もしもスパイクハイの中心となっているローソク足の長い上ヒゲが実体の3倍以上であれば、
・下位足で上ヒゲのピンバー
・下位足でスパイクハイ
・上位足で上ヒゲのピンバー
という相場状況になり、多くのトレーダーが一時的に「買い」を避け「売り」の注文を出しやすくなるので、ショートでエントリーする絶好のチャンスに成り得るからです。
以上がスパイクが効く原理になります。
ただ、下図のように中心のローソク足に対し前後に位置するローソク足も、同じように長いヒゲが出ている場合は、多くのトレーダーからスパイクとは意識されないのでご注意ください。
あくまでも、中心に位置するローソク足のヒゲが伸びており、その前後の足はヒゲが無いか、ほぼヒゲが長くない状態が下図のようにスパイクハイやスパイクローとして意識されます。
最後に付け加える形になり恐縮ですが、
・スパイクローの場合「陰線→中心のローソク足→陽線」
・スパイクハイの場合「陽線→中心のローソク足→陰線」
という順序になります。
要するに、中心のローソク足だけが「独立している」「放たれている」ような形になるわけです。
(中心のローソク足は陰線でも陽線でも構いません。)
実際、先ほども掲載した下図のスパイクロー/スパイクハイも、上記のような順序で構成されていました。
ピンバーと合成ピンバーの違いとは
まず合成ピンバーとは、2本のローソク足を合わせて(合成して)ピンバーと見立てる形状になります。
下の図は30分足チャートで下げ切った場面で、2本を合成して1時間足ではピンバーになるような場面でした。
これを30分足チャートで見た際に合成ピンバーと意識されます。
ただ、
・1分足2本(2分足)
・5分足2本(10分足)
のように、合成した時間足が、ほとんどのトレーダーから意識されないような時間足では意味がありません。
MT4やTradingview(トレーディングビュー)などの代表的なチャートソフトで搭載されている下記の時間足以外は、基本的にトレーダーからほぼ見られていないと考えて良いと思います。
- 1分足
- 5分足
- 15分足
- 30分足
- 1時間足
- 4時間足
- 日足
- ・・・・
そもそも、上記の時間足以外を見る機会も触れる無く、また見ようとする意識もほぼ無いと考えられます。
だからこそ、2本の合成ピンバーとして有効となるのは、
・15分足2本(=30分足)
・30分足2本(=1時間足)
のように、合成した2本のローソク足が上記のような意識されやすい時間足になっている必要があるわけです。
合成したローソク足が大勢のトレーダーから意識される時間足のピンバーになることで、はじめて効力を発揮するようになります。
そのため、
・1分足2本(=2分足)
・5分足2本(=10分足)
のように合成した結果の時間足が、ほとんどのトレーダーから見られないような時間足にならないようご注意ください。
先ほど書いたように、合成ピンバーを活用する場合、15分足や30分足の合成を意識して頂ければと思います。
まとめとピンバーやスパイク、合成ピンバーの「注意点」
以上、この記事ではピンバーに対して似ている「スパイク(スパイクロー、スパイクハイ)」「合成ピンバー」の違いや定義の目安を解説させて頂きました。
まずスパイクにおける定義の目安が以下になります。
- 中心となるローソク足のヒゲが長いこと
- 前後のローソク足はヒゲがほぼ無いこと
- 中心となるローソク足はピンバーとは限らないこと
その上で、
・スパイクローの場合「陰線→中心のローソク足→陽線」
・スパイクハイの場合「陽線→中心のローソク足→陰線」
という順序になり、中心に位置するヒゲの長いローソク足のみが独立しているような形状となります。
対して合成ピンバーは、下図のように2本のローソク足を「合成」して、その上位のローソク足では「ピンバー」になる形状でした。
ただ、ピンバーやスパイク、合成ピンバーにしても、それぞれ単体のみを使ったトレードでは、あまり有効性を高められません。
そもそも、これらのプライスアクションをすべてのトレーダーが意識し、頼りにしているわけではない上に、1つの時間足で見て有効でも別の時間足で見れば有効なサインが出ていなければ優位性が下がってしまうからです。
ですので、単純にピンバーやスパイク、合成ピンバーのような「プライスアクションだけ」を頼りにエントリーすることは精度が極端に下がってしまうので、あまりオススメはしていませんでした。
あくまでも、これらのプライスアクションはメインとなるテクニカル指標と組み合わせてこそ、その指標の精度をより高められるようになり、トレードの精度が大きく向上するわけです。
使用されるテクニカル指標の「補強」「補完」にピンバーやスパイク、合成ピンバーなどのプライスアクションを使うイメージになります。
その上で組み合わせるテクニカル指標として優位性が高いものは、パラメータ(設定値)が無く、トレーダー同士で分析の差が発生しにくい下記のような「ライン」に他なりません。
- トレンドライン
- チャネルライン
- 水平ライン(水平線)
- キリ番(ラウンドナンバー)
これらのラインは、RSIやRCI、MACDのようなパラメータ(設定値)が存在しません。
そのため、ラインを引くトレーダー同士でテクニカル分析の差が出にくくなり、より高精度の分析が可能になるわけです。
上記のようなラインと、ピンバーやスパイクなどのプライスアクションを組み合わせることで、ラインで価格の反発などの精度がより高まり、ラインを使った『ライントレード』の成績が大きく向上させる余地が有ります。
そんなライントレードに関して、当ブログでは下記の記事でいくつか実際の事例を公開していました。
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