杉原です。

最近メルマガの方で「リスクリワードだけで勝てると思いますか?」という内容の質問を頂きました。

実際にネットでも書籍でも、

「優先すべきは勝率よりもリスクリワードだ」
「損小利大を徹底すべきだ」

という主張をする人が多いようで、割と共通性の高い話題かと感じたため、この記事で議題に挙げて解説していきたいと思います。

ただ、何の目的かが分からないと意味がないと思いますので、

「FXのデイトレードで日々の収益を安定させる」
「日々の利益率を可能な限り高める」

という目的において、FXのデイトレードは「リスクリワードだけで勝てるのか」を検証させて頂く次第です。

勝率の観点でリスクリワードを考える

まず、リスクリワードと比較されがちな「勝率」の観点で考えてみましょう。

単純な話、損失幅:利益幅であるリスクリワードを高めようとするほど、勝率の低下は避けられません。

まず、損失幅:利益幅が1:1より、1:3や1:5などの方がリスクリワードが高くなるものの、利確に対して損切りの幅が狭いため、当然ながら損切りのタイミングが早くなります。

例として、1:5のリスクリワードと過程した場合、20pipsの損切り幅:100pipsの利益幅になるので、目標の100pipsに届かずにトレンドが反転する場合が多くなり、勝率はどうしても低くなりがちです。

ですが逆に、1:1のリスクリワードであれば20pipsの損切り幅:20pipsの利益幅で、トレンドがエントリー方向から見て反転する前に、利確の目標である20pipsに届く確率が上記よりも上がるので、勝率が高くなりやすいことは間違いありません。

以上のように、リスクリワードを高めるほど、勝率は逆に下がってしまうわけです。

もちろん、いくら勝率が高く日々の収益を安定化できそうでも、一度の負けで資金の大半を無くすほどリスクリワードが悪ければ意味がありません。

では以上の話を前提として、

「勝率を30%程度まで下げてでもリスクリワードを1:8のように高める」

というデイトレード手法はどうでしょうか。

上記の手法は勝率は低いものの、それまでの損失を上回るほどの利益を「一度の勝ちトレード」で得られるかもしれません。

しかし、30%のように勝率を下げるほど、そんな勝ちトレードに当たる回数が安定しない傾向にあります。

本来であれば勝率30%ということは、10回のトレード回数があれば3回ほど勝てる見込みの計算です。

ですが、このような確率/統計は、今から10回トレードしたからと言って、必ずしも3回勝てるわけではありません。

もちろん10,000回のように数多くトレードすれば、30%である300回ほどの勝ちは得られるはずです。

このように、10,000回のように回数が多くなるほど、30%の勝率に近づくというのが確率/統計の本質的な仕組みに他なりません。

そのため、たった10回程度のトレード回数では、30%の勝ちを確実に期待できないわけです。

ですので、仮に今から10回のトレードを行うとしても、その10回の内、勝ちトレードが0回の可能性も十分に有り得ます。

もちろん、最低限として勝率を60%や70%のように高められれば、今から行う10回のトレードで勝ちが0回ということは考えられません。

ただ、この例のように損失幅:利益幅=1:8のようにリスクリワードを重要視し過ぎることで、勝率を30%程度まで下げてしまえば、13回目や16回目など、トレード回数が10回を超えたあたりで、ようやく初めて勝ちトレードに当たる可能性も十分にあるわけです。

よって、トレードを始めた序盤の段階で、連敗を繰り返すことで資金の減りが大きくなる危険性に繋がってきます。

何より「FXのデイトレードで日々の収益を安定させる」ことを実現しにくいわけです。

もちろん、リスクリワードを1:8のようにすれば、損切り幅は「狭い」ので、一度の損切り額は大きな被害ではないかもしれません。

ただ、この例のように「30%程度の低い勝率」であれば、連敗数が10を超えることも十分に有り得るため、積み上がった損失額はそれなりに大きくなる危険性があります。

よって、リスクリワードを最重視した勝率を大きく下げた場合、損失額を膨らませ過ぎて資金の大幅な減少を防ぐためにも、ロット(取引数量)を非常に小さくしてトレードする必要性があるわけです。

ですので、勝率を大幅に下げることで日々の収益を安定化しにくいだけではなく、ロットを下げてトレードしなければならないことで、利益率が非常に低くなるデメリットが発生します。

利益率の観点でリスクリワードを考える

FXのデイトレードをはじめ、トレードの成績に関しては、書籍にしてもネットにしても、

「1ヶ月で●●万円稼ぎました」
「1回のトレードで●●pips獲得しました」

のような意味不明な(と、私は思います)自慢が多くの人によって発信されていますが、資金量は人によって異なるので、本来トレードの成績は『利益率』で計るべきと私は考えています。

そもそもトレードの収益は『利幅(pips) ☓ ロット(取引数量)』の計算結果であることは間違いありません。

そのため、先ほども挙げたリスクリワードを1:8のように重要視して勝率を30%程度まで大きく落とすデイトレード手法は、ロットを極端に小さくする必要があるので、いくらリスクリワードが良くて獲得Pipsを多く取れても、当然ながら低い利益率になってしまいます。

その上、先ほども書いたように、連敗数も相当に覚悟が必要です。

ですので、資金の大幅な低下、いわゆるドローダウンを懸念し、さらにロットを低く設定しなければなりません。

よって余計に低いロットでトレードするため、より利益率の低下が避けれられないわけです。

【追記】トレード頻度の観点でリスクリワードを考える

ここまでは勝率と利益率の観点で、リスクリワードを重要視し過ぎることで生まれる致命的なデメリットを解説させて頂きました。

ただ、FXのデイトレードにおいて、トレード頻度を多く持てるのであれば、ここまで説明した「利益率の低さ」「安定感の低さ」トレードの回数で補えるかもしれません。

そこで、リスクリワードを重要視した先ほどの例である「リスクリワード1:8、勝率30%」というデイトレ手法における、トレード頻度を考えてみたいと思います。

そんなトレード頻度に関して、この「リスクリワード1:8」のように、利幅を多く取る厳しい条件の場合、実際のところエントリーのチャンスが多発することは余りありません。

損失幅が1に対して利益幅が8のように、リスクリワードを徹底するほど、エントリーの条件そのものが厳しくなり、その条件を満たす相場がなかなか訪れにくくなるからです。

ですので、リスクリワードを重要視するほど勝率が下がるだけではなく、トレード頻度が下がることにも繋がってしまいます。

よって、先に解説していた「利益率の低さ」「安定感の低さ」をトレード回数の多さで補うことは現実的ではないというのが私の意見です。

結論〜「リスクリワードだけで勝てる」という意見には大いに反対〜

以上、当記事では「勝率」「利益率」「トレード頻度」の観点から、FXでリスクリワードを重要視するデイトレ手法について考察させて頂きました。

その結論を申し上げますと、勝率/利益率/トレード頻度のすべてが下がる傾向にあるため、

「FXのデイトレードで日々の収益を安定させる」
「日々の利益率を可能な限り高める」

という目的の上では、リスクリワードを最優先とする考えに私は大反対です。

ただ実際のところ、書籍や情報商材を含め、勝率よりもリスクリワードを重要視する意見が多数となっているかと思います。

とある情報商材では、

「リスクリワードが1:2以上なら、いつエントリーしても良い」

という趣旨のことを堂々と語っている講師の方もいるほどでした。

書籍にしてもネットの情報にしても、多くの人がリスクリワードを高めることを重要視しているので、私の意見は少数派かもしれません。

ただ、この記事で解説したように、リスクリワードを重視すればするほど、「勝率」「利益率」「トレード頻度」の低下は避けられない傾向にあります。

日々の収益を安定化させつつ、高い利益率を目指すためには、リスクリワードを重要視するよりも、

1.含み損が小さいまま勝率を高める
2.1を前提としてリスクリワードを改善する

という順に、デイトレ手法を構築する方が良いと私は思います。

上記「1」のように含み損が小さく勝率が高ければ、ロットを上げたトレードができるので、利益率の大幅な向上が見込めるからです。

この時点で利益率は大いに高まるので、リスクリワードの改善は「その後」でも十分だと思います。

以上、参考にして頂ければ幸いです。

>ブログの目次はこちらから