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杉原です。
FXのデイトレードに限らず、トレード・相場の世界では、勝率100%の必勝法=聖杯という「夢」のある言葉が存在しています。
その上で、この必勝法である『聖杯』を追い求めるトレーダーは決して少なくありません。
確かに、
「このパターンで買えば、100%稼げる」
「このサインが出た時点で売れば、絶対に負ける事はない」
のようなトレード手法・ロジックがあれば、トレードに携わる誰しもが欲するものだとは思います。
相場に対して何のストレスや不安もなく、ただ機械的にエントリーすれば必ず勝てるわけですから。
ただ、FXのデイトレにおいては、そんな「聖杯」は残念ながら存在しないと私は考えています。
要するに、勝率100%の必勝法であるFXのデイトレード手法・ロジックは「有り得ない」ということです。
聖杯という「夢のある話」を冒頭から打ち砕くようで申し訳ありません。
今回は、FXのデイトレードにおいて勝率100%の必勝法である聖杯が存在しない事を、明確な理由を踏まえて解説していきたいと思います。
FXのデイトレで聖杯=必勝法が存在しない理由
私が聖杯=必勝法の存在を有り得ないと言い切れる理由は、下記の4点です。
- 全員が同じ指標を使っていない
- トレーダー1人につき1票ではない
- 突発的なファンダメンタルズ材料が入る
- 政府の介入が急に起こる事がある
では、それぞれを1つずつピックアップし、掘り下げて解説していきたいと思います。
ただ、聖杯の存在がない事は、株・仮想通貨・先物などを含めたそのほかの銘柄、およびスイングトレードなど別のトレードスタイルでも同じです。
あなたのトレードするスタイルや銘柄がどんなものであろうと、本記事で解説する聖杯が存在しない理由の内、どれか1つにでも該当すれば、勝率100%の必勝法は有り得ないと言い切れます。
そういった面からも、すべてのトレーダーにとって重要な記事になると思いますので、ぜひ最後までお付き合い頂ければ幸いです。
全員が同じ指標を使っていない
勝率100%というのは、値動きを完璧に読む事にほかなりません。
その上で値動きは、全トレーダーの売買注文を総合して発生するため、すべてのトレーダーの動向を読む必要があるわけです。
ですので、仮に、すべてのトレーダーが
・まったく同じ指標のみを使う
・たった1つの指標以外は使用が許されない
という状況であるならば、全トレーダーの動向を読める余地がある事は0ではありません。
ただ現実問題、そもそもテクニカル指標は山のように存在するため、各トレーダーごとに使っているテクニカル指標は普通に異なると思います。
加えて、テクニカル指標を一切使わず、ファンダメンタルズ分析のみでトレードを行うトレーダーも0ではありません。
よって、相場の世界において、トレーダーの誰もが同じ分析指標を使っているとは限らないわけです。
特にFXのデイトレードでは、
・通貨の強弱
・各国の経済指標
・オーダーブック(注文板のようなものでOANDAが有名)
などを利用したFXのデイトレ手法も存在するため、余計にトレーダーごとの「判断基準(指標)」が異なるわけです。
また、そのテクニカル指標にしても、ファンダメンタルズ指標にしても、同じ指標を各トレーダーがまったく同じ使い方で見ているとも限りません。
要するに、指標のパラメータも異なれば、指標から判断する売買の条件(ロジック)もトレーダー次第によって異なるということです。
さらに、トレーダーにつき指標は1つとも限りません。
いくつかのテクニカル指標を組み合わせるということが普通に有り得ます。
むしろ、複数のテクニカル指標を組み合わせる事で、勝率(精度)を上げようとするトレーダーは少なくありません。
以上、各トレーダーごとに、
使っている分析指標が異なる
指標の使い方が異なる
指標の組み合わせが異なる
という事情があるため、100%の精度で各トレーダーの動向を読む事は不可能なので、聖杯が存在しないと私は考えていたわけです。
【実践者の実績や生の声】
トレーダー1人につき1票ではない
先ほど解説した、トレーダーごとに使っている判断指標の違いや、使い方や組み合わせの差異と同じく、各トレーダーの『資金量』も異なります。
そして、資金量が異なれば、取り組む手法をもとに、実際にトレードを行う際の「ロット数」もトレーダーごとに違いが生じるわけです。
要するに、トレーダー1人につき1票ではないということ。
そもそも相場は売りと買いの「人気投票」のようなもので、投票(注文)が多い方に値動きが発生します。
その上で、トレーダーごとの「資金量」と「ロット数」の違いは確実に存在し、ロットが違えば注文(投票)する数量も異なるため、トレーダーによる「注文量」の予測は残念ながらできません。
特にFXのデイトレードであれば、後に説明する信じられない資金を使って相場を支配する「政府の介入」もあり、一般トレーダーが予想もできない注文量でチャートを意図的に動かす動きもあるほどです。
それこそ、トレーダーの口座をハッキングしなけば各トレーダーの「注文量」を予測することはできません。
そもそもハッキングは犯罪行為なので論外ですので、やはり各トレーダーのロット数や注文量を読む事は不可能だと思います。
よって、万一にも法律が変わり、
・まったく同じ指標のみを使う
・たった1つの指標以外は使用が許されない
という法案が可決されて全トレーダーの「売買の動向」を完璧に読めたとしても、トレーダーごとの「注文量」を読む事はできないため、結局は完全に値動きを予測することは不可能なわけです。
以上、1人につき1票ではないという点が、聖杯が存在しない2つ目の理由となります。
突発的なファンダメンタルズ材料が入る
まず、FXにおいて、値動きに影響を及ぼす可能性が高いファンダメンタルズの材料としては、以下が代表的な要素です。
- 国家の経済状況
- 経済的に大きなニュース
- 要人の発言
- 大災害を含めた大きな事件
上記の4つが、実際にFXにおける各通貨ペアの値動きに影響を与え、多くのトレーダーが売買判断の基準にする傾向にあります。
その内、
経済的に大きなニュース
要人の発言
大災害を含めた大きな事件
などは、『突発的』に起こるものです。
ですので、上記のような突発的に起こるファンダメンタルズ材料による「値動きへの影響」は、事前に予測ができません。
その上、そんな突発的に起こるファンダメンタルズ材料が発生した後は、相場(チャート)は異常に大きな値動きを見せます。
何より、その際には、
・スプレッドが異常に拡大する
・スリッページが異常に大きくなる
という、FXのデイトレードにおいて非常に「不利」となる状況が発生するわけです。
これらは、決して2,3pips程度の小さなものではありません。
二桁台になる事も普通にあります。
その時点で、自身が取り組んでいるデイトレ手法の損切り条件が成立してしまう可能性も十分にあるわけです。
以上、
・予測不能な大きな値動きに突然巻き込まれる
・スプレッドやスリッページが2桁レベルまで急に広がる
などの可能性があり、これらが損切りの要因に大きく成り得るため、「突発的なファンダメンタルズ材料が入る」ということによっても聖杯の存在が有り得ないと私は考えていました。
ただ、FXのデイトレードでチャート画面を開きパソコンを付けっ放しにしていれば、突発的に起こるファンダメンタルズ材料が発生しても、
・今からのエントリーは回避する
・ポジションを持っていて、それが含み益が出ていても即座に利確する
などをすれば、損切り=負けは普通に避けられるかもしれません。
ただ、すでにポジションを持っている状況において、そのポジションが含み損を抱えていた場合、即座に手仕舞いすれば、その時点で「負け」が確定してしまうので「聖杯」にはならないわけです。
もちろん、突発的に起こったファンダメンタルズ材料の影響により、含み損が含み益になる、いわゆる「プラ転」となる可能性も0ではありません。
ただ、その逆で、さらに含み損が大きく広がる可能性も同じだけ存在しています。
つまり、確率は五分五分の50%だということです。
よって、いくらパソコンに張り付いたとしても、高い確率で損切りに至る可能性があるため、この観点で見ても、やはり聖杯は有り得ないと思います。
政府の介入が急に起こる事がある
FXではトレーダー以外の存在である政府の介入、文字とおりの「政府介入」が存在します。
そもそもFXにおけるトレード対象(銘柄)は、下記のように国の「通貨」同士をペアにしたものです。
- ドル円(USD/JPY):ドル(USD)+円(JPY)
- ユーロドル(EUR/USD):ユーロ(EUR)+ドル(USD)
その上で、そんな通貨は、各国の貿易を含めた外交などにも大きな影響を及ぼします。
そのため、通貨のレート(価格)は国の財政を含めた政治にまで大きく影響するということです。
その上で、あまりにも国にとって通貨レートが悪影響になる場合には、政府が相場に介入し多額の資金を投入して意図的にレートを調整します。
仮に、レートが低過ぎる場合には途方もない買い注文を出して、レートを上げるわけです。
逆にレートが高すぎる場合は、同じような原理で売り注文を出してレートを下げ始めます。
そんな政府介入で起こる値動きは、先ほど説明した突発的に起こるファンダメンタルズ材料の倍以上となる値動きです。
数百pips以上は当たり前の値動きなので、仮に損切りを我慢して耐えたとしても、大抵の場合は取引口座側の「強制ロスカット」に巻き込まれる事は避けられません。
そうでなくとも、取り組んでいるFXのデイトレ手法・ロジックにおける損切り条件が成立し、負けトレードになる可能性が大いに有り得ます。
もちろん、政府介入の影響で起こる「異常過ぎる値動き」で、元々の含み損だったポジションが、逆にプラ転して大きな含み益になる可能性も決して0ではありません。
ただ、その確率は五分五分でしかないですので、決して期待できるものではないと思います。
そして何より、政府の介入自体はいつ来るかが分かれば、備えようがあるものの、正確に予測することはできません。
おそらく、政府介入のタイミングは、政府の上層部以上で本当に上の上にいる人達しか知り得ない情報だと思います。
以上から、政府介入による影響でも、勝率100%の必勝法である聖杯は成り立たないと私は考えていました。
FXのデイトレに聖杯はないが、必勝法に頼らずとも勝ち続ける事は十分に可能。
以上、本記事では下記4つの理由から、FXのデイトレードにおいて勝率100%の必勝法である聖杯は「存在しない」という事を解説させて頂きました。
- 全員が同じ指標を使っていない
- トレーダー1人につき1票ではない
- 突発的なファンダメンタルズ材料が入る
- 政府の介入が急に起こる事がある
専業のトレーダーとして長く勝ち続けている人の中に、勝率が100%の方は当然ながら存在しません。
専業でFXのデイトレードを生業にしている私自身も、勝率100%ではなく、90%程度です。
私自身も含め、勝ち続けている専業のトレーダーは、
・勝率
・リスクリワード(損失:利益)
・取引数量(ロット数)
などのバランスを取り、負けを許容した上で、最終的に残る利益をより高めるようなロジックでトレードしています。
100回中100回勝てる、1000回中1000回勝てるような「聖杯」をいくら探しても、本記事で解説したとおり「物理的」に見つかりません。
数年、数十年、一生を「聖杯探し」に捧げても手にすることは不可能だと思います。
トレードで勝つべくして勝つためには、まず聖杯の存在を頭の中から「消去」することがスタートラインです。
その上で、長期的に有効性のあるトレード手法を手にすることが、専業トレーダーとして生き残れる必須の要素だと思います。
実際のところ、勝率が高くなくとも、リスクリワードやロット数を高める事で、トータルで残る利益を大きくすることは不可能ではありません。
現に、勝率がそれほど高くない5,60%程度でも、専業トレーダーとして勝ち続けている人もいるほどです。
たとえば、勝率60%、リスクリワードが1:1ならば、そのトレード手法は長期的に続ければ必ずプラスになる計算が成立します。
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